石材店・石・建築石材『全国建築石材工業会』
 


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乾式工法についても、RC造体を前提に話を進める。
内壁施工できる乾式工法は2種類あり、内壁の場合、空積工法が多用される(表2、図)信頼性の面では金物工法の方が優れているのだが、施工単価、張り代と工期の面で勝っている。また、金物工法ではどうしても目地が必要になるが空積工法では必ずしも目地は必要ない。もちろん、空積工法であっても目地(シール目地)を設けた方が耐震性能は格段に向上する。個人的には安全性の観点から目地を設ける設けるべきだと思う。
表2 内壁に用いる工法の評価
下地と工法 下地の
相性
剥離性 耐震性 コスト 施工法 張り代
RC下地 乾式金物 ×
乾式空積
湿式工法 × × ×
圧着工法
木造下地 乾式金物 × × × ×
乾式空積 × ×
湿式工法 × × × × ×
圧着工法 ×
鉄骨下地 乾式金物 ×
乾式空積
湿式工法 × × × × ×
圧着工法 ×
 
(1)適用可能なモジュール
乾式工法の場合、最低でも20oの石厚は必要だ。その上で0.5/u枚くらいの寸法が適当だと思う。この2点を考慮すると、おのずと使える石種が限られてくる。

(2)剥落防止のポイント
使用する金物は、外壁に準じれば問題ない。空積工法の場合、多くは下地の配筋や石引アンカーにステンレ線で引っ張って固定するが、ここで使用するステンレス線について少し説明をしたい。というのもステンレスの材質は実に複雑だからだ。一般にはSUS304とだけ書かれているが、石張りに使うSUS304のなかにはW1とW2、W1/2Hの3種類がある。公共工事でもSUS304の3.2oが指定される。JASS9(石工事)にも同じく指定されている。しかし3種類のうちどの材質を使うかは明記されていない。線径3.2oでもW1、W2は比較的軟らかく現場での加工が容易だが、線径3.2oのW1/2Hは非常に硬く現場での加工は非現実的だ。

公共工事などでSUS304の3.2oと指定されると施工業者は「線径3.2o」という指定を守るためW1,W2を使う。しかし、ほとんどの施工業者は、普通はW1/2Hの2.6oか2.8oを使用している。これらは、線径は滴たしていないが、強度計算をすると十分な強度をもっている。さらに、実際に使用したときの信頼感もW2の線径3.2oよりW1/2Hの2.8oの方が、数値の差以上に高い。それぞれの線の引っ帳り強度を表3にまとめたので参考にしてほしい。 
表3 ステンレス線の強度
種類 強度
W1 5305N
W2 7315N
W1/ 2H 6633N
W1/ 2H 7693N
 
(3)目地の考え方
前述したように、いかなる場合でも5〜6oのシール目地をとるべきだ。見かけを大事にするか、安全性を大事にするかで決定してほしい。なお、木造に適用できる確実な工法はないため、設計段階からRCの体をつくるしかない。鉄骨造では縦にリップ溝形鋼を流したうえで横にリップ溝形鋼を取りつけるといい。ボルトでの取り付けが理想だ。こうすればリップ溝形鋼用の取付け金物が使える。リップ溝形鋼用の取取付け金物には、大きく分けて荷重受けタイプ(乾式金物工法)と積み上げタイプ(乾式空積工法)の2種類がある。なお、選択基準はRC造のときと同じである。表2、図 
図 内壁に使われる工法(乾式工法)
@RC下地乾式空積工法(下地配筋)   ARC下地乾式空積工法
  (石引アンカー)

B鉄骨下地乾式空積工法 C鉄骨乾式金物工法

参考文献:建築知識9月号 特集:まるごと石辞典