単位が変われば見積りも変わる

石工事積算上これほど単純で重要な事項はないが、単位表現の誤りが見積り金額 に重大な影響を与えるということを設計者はよく認識すべきである(表1)。間違いの多い表記がmである。㎡と延メートルでは単価がまったく変わる。たとえば幅180㎜・厚20㎜の便所の棚板は普通18,000円/mくらいだが、㎡換算すると約86,000円/㎡となる。つまり、68,000円も高い値段が人ってしまう。この間違いを防ぐために、㎡は大文字M2と記し、mまたは延メートルはそのまま小文字表記にすることを提唱したい。ばかばかしいと思うかもしれないが、この誤記は非常に多い。

表1 見積単位と適用部位

単位        文字表現              適用部位         解 説

m2
平方メートル(M2)床、壁、平面的面積部位「へいべい」と業者間では呼んでいる。最も多用される単位呼称である。一定の面積のある壁、床関係はすべてm2と書く。間違いないように大文字のM2としている

m3
立法メートル加工しても大きいムクの石、土木の砂、砂利、段石や人形台石、 柱ムク石「りゅうべい」と呼ぶ。岩盤から採石したブロックや、土木用の岩石、砂、砂利、建築で加工された石材など
延mまたはm延べメートル棚板、縁石、枠石、ボーダー石、
段石、笠石など
一般に細物で長さ単位の方が分かりやすい部位の呼称である

ヶ所

箇所
マントルピース、人形台など1力所単位で計上した方が分解数量だと煩雑な場合を避けられる。明細を図示する必要あり
大谷石の塀、杵細長物で個数が少ない場合、または積算表現上、本の方が分かりやすいときに使う
溝蓋石・点検孔蓋石・表札など平物で、数か少ない場合、または定型板で積算するとき規格品と数量のとき
「こ」ピンコロ(小舗石)少量のムク石単品物でムク石扱いするもの。小舗石など数の個で注文する


「しき」
マントルピース石工事1式・エレベーター額縁石1式・入口沓摺石1式など積算上1式で全部を総合した表現だが、明細でよく書かないと分からないことが多い。「ヶ所」というのと似ているが、式の方が容姿が大きい場合がある

糸m2
便所・隔板・間仕切石・衝立石「いとへいほうメートル」という。この表現は、見出し部分を全部計算された意味。塀大谷石等にも使う


「きれ」
原石「さい」とも呼ぶ、原石数量表示はこれである。メートル法で300x800x300mmの大きさ。尺貫法では尺3のこと

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