玄関

【どんな石が使えるか】

玄関はその建物の顔と例えられるように一番重要な場所であり、そこに使われる石も重厚さとか豊かさを感じさせる石が向いている。また、玄関は室内ではあるが、外部の床同様滑り止め対策を考えておく必要がある。つまり内部と外部の折衷案のような仕上げがよい。ドアから框までの、人が普通に歩く範囲はバーナー仕上げのような滑りにくい仕上げとし、その他の部分は本磨きのような、綺麗でメンテナンスの楽な仕上げにするといった具合である。
ポーチは当然外部として考えてよいのだが、玄関と同様に外部と内部の両方の性格を併せもっている。したがって、ポーチの外周部は階段と同様に安全を最優先して、滑り止め対策を考えることが重要である。

【基本的な収まり】

(1)玄関の基本納まり

床石と壁石の取合いとしては、両者が直接取り合う場合と幅木を介して取り合う場合がある(図1)。いずれの場合も基本的な納まりは仕上がり部分(壁および幅木)を呑込みにする。ただし、木幅木やソフト幅木の場合は床石を先に施工する。上框廻りの納まりは、框が床に直についている場合と、框が床から離れていてその間に蹴込みを設ける方法がある。いずれの場合も框なり蹴込みを床石より先に施工する(図2)

図1 幅木廻りの納まり

(2)ポーチの基本納まり
ポーチが玄関とつながる部分には、沓摺りを設けるのが一般的である。 沓摺で段差を付ける理由は、雨仕舞いに尽きる。このことがバリアフリー化できない理由だと思う。であれば沓摺りの部分にドアーの厚みと同じ幅の小さなグレーチングを設置すれば雨仕舞いも配慮でき、バリアフリーになる。ただし、この部分は靴底に着いた砂が落ちてグレーチングの下に溜まりやすいので、大きめの排水用のパイプを付けて、目詰まりを防ぐ配慮が必要だ。ポーチ部分は一般的には屋根があるので、水勾配は1/100でよい。

図2 上框の納まり

①床と直接取り合うタイプ

②蹴込みが別にあるタイプ

框には、床に直接ついているものと蹴込みが別にあるものの2タイプがある。いずれの場合も床に框部分が呑込みになる。

参考文献:建築知識9月号 特集:まるごと石辞典