【どんな石が使えるか】

床石は滑ると危険なので、仕上げを慎重に選定する必要がある。御影石の場合だと、バーナー仕上げ、小叩き、ビシャンが適当である。石英岩や鉄平石は割肌になる。基本的に床に使えない石はないが、大理石だけは避けた方が無難である。大理石の場合、仕上げは本磨きとするのが一般的である。本磨きは小さな傷も目立つ。住宅のようにオーナーが直接管理するような場合、そうした傷はかなり気にするからだ。

床石に適した大きさは、せいぜい0.4m2くらいが限度である。石種によっては1m2前後の大板もとれるが、0.4m2を超えると石裏に空洞部分ができやすい。空洞は割れの原因になりやすいので注意したい。石厚は石種や仕上げでの種類で異なるが、特に厚みを気にする必要はない。以上を表にまとめた。

石種と仕上げ住宅内部住宅外部商業施設内部商業施設外部
御影石(本磨き)××
御影石(バーナー)
大理石(本磨き)××
ライムストーン××
砂岩
石英岩
天然スレート
鉄平石
注 砂岩以下は割肌または水磨き  凡例 ◎最適 ○適 △可 ×不可

【床の工法の基本】

(1)基本納まり

基本納まりは外部、内部ともまったく同じである。図1を参照してほしい。なお、床石に防水効果はまったくない。したがって、防水が必要な場合は床石張りとは別に防水工事を行う必要がある。また、軀体の挙動や熱膨張に対処するには5~10m間隔でエキスパンションジョイントを設ける必要がある。壁との取合い部分は外壁で説明したとおりに納めるとよい。

(2)石のモジュール
施工性と仕上げのきれいさでは、1枚の大きさは0.2m2前後が最も適している。デザインを考慮しても0.4m2くらいを限度に考えた方がよい。石厚は車路のように特別重量がかかるところ以外は、どんな石厚でも問題はない。

図1 床石の基本的な納まり

【床の工法のチェックポイント】

(1)割れ
床石が割れる原因の大半は、石厚ではなく施工時にできる石裏の空洞である。この空洞ができないようにするには、石の寸法を小さくする以外によい方法はない。石厚を10cm以上にすれば問題はないが、現実的ではない。熱膨張による影響は、割れよりもむしろ浮き(剥離)として現れる。これを防ぐには適当な間隔でエキスパンションジョイントを設ける必要がある。

(2)汚れ
表面の汚れには、石裏から出てくる汚れ(白華など)と表面に着く汚れがある。前者を防ぐ方法として裏面処理が、後者を防ぐには撥水剤の塗布がある。裏面処理はある程度の効果は期待できるが施工単価が高くなる。撥水剤などの塗布はもともとメンテナンスの部類に入るので、通常の石工事には含まれない。ただし、裏面処理のように1枚1枚に塗布するのではなく、施工後にまとめて塗布するため、裏面処理よりは施工単価は有利だろう。しかし、効果の持続期間はせいぜい2年くらいである。

目地の汚れについては、基本的には対策がない。石よりも目地の方が遥かに吸収力が高いからだ。したがって、汚れても目立たないような配慮をするのが一番の対策だ。内部の床目地でも、石の色に合わせて白とかベージュのような淡系色を選択するのは避けた方が賢明だ。

(3)滑り止め
御影石の場合、バーナー仕上げにするのが最良の方法である。大理石やライムストーンについてはよい対策がないので、外部に使うのはなるべく避けたい。そのほかの石は、滑りに関しては問題ない。現在はいろいろな表面処理剤があり、滑り止めの効果を謳い文句にしたものもあるが、これも持続期間はせいぜい2年くらいである。

(4)水勾配
外部の床工事で一番頭を悩ますのが水勾配だ。水を流すためには、バーナー仕上げで1/100以上、割肌(鉄平石や石英岩のような石)で1/50以上とする必要があり、それ以下では必ず水溜りができる。水勾配をできるだけ緩くするには、グレーチングを設けたり周囲に溝をつくるのがよい。また、外部など広範囲に水勾配をとる場合、基本的には石表面だけでなく、下地コンクリート面でも勾配をとる必要がある。コンクリート面に水が溜まると石表面に濡れ色現象やエフロが発生する原因となるため、施工管理面で重要なポイントとなる。

参考文献:建築知識9月号 特集:まるごと石辞典