階段

【どんな石が使えるか】

階段も床と同様に基本的には使えない石はない。むしろ石種より仕上げの種類が重要である。階段は特に安全性を最優先すべきところであり、外部はもちろん内部においても本磨きは避けたい。水磨きでも、石が濡れると本磨きより滑ることもあるので、慎重に検討した方がよい。したがって、本磨きにして最も価値が出てくる大理石は、避けた方が無難ということになる。また、最近急速にに施工例が増えてきている既製品の場合は、どうしても石厚が薄く段端部分が欠けやすいので、単価は少し高くなるが25㎜厚前後の石を勧める。

【階段の工法の基本】

段端は蹴込石の小面を出す納まりと踏面石の小面を出す納まりの2つがあるが、踏面石の小面を出す方が一般的だ(図1)。しかし、最近の駅の階段や公共施設の階段では、蹴込石の小面を出すのが増えてきている。蹴込石の色を変えることで段端の位置がはっきりして、安全性が向上するためだ。
蹴込みの仕上げは本磨きがよい。踏面は安全性の点からバーナー仕上げが一番だ。ノンスリップ効果を狙って段端に小さな溝を2~3本付けているのを見かけるが、仕上げの種類にかかわらずほとんど効果は期待できない。むしろ汚れが溜まリやすく取れにくくなるのでやめた方がよい。単なるデザインであれば話は別だが、本磨きや水磨きにこうした加工をして安全性を図っているとしたら本末転倒だ。踏面はバーナー仕上げか割肌にして、石の仕上げそのものでノンスリップ効果を出すべきだ。これなら溝があってもなくても問題ない。なお、目地は5㎜以上必要だ。特に外部は目地がないと雨水などが浸透して、剥雛の原因になる。

図1 階段の基本納まり

①基本納まり

蹴込み石と踏面石の取合いにチリを設けられるので納まりに柔軟性がある。

②蹴込み石の小面を出した場合の納まり

蹴込み石と踏面石の石種を変えて段端を際立たせることにより安全性の向上が期待できる

【階段の工法のチェックポイント】

(1)割れ
階段石が割れる原因の大半は、石厚の不足と地盤沈下による軀体の亀裂にある。階段や床は耐荷重の面からも湿式工法で施工する。外壁のページでも書いたように、湿式工法は下地の亀裂がそのまま石の表面にも出てくるので、下地の強化と石厚の確保が最善策である。

(2)汚れ
汚れに関しては、床とまったく同じである。

(3)滑り防止
階段の場合、滑り防止は床以上に重要だ。仕上げの種類で対応するのが最善の策であり、表面処理のようなニ次的な対策は避けるべきである。

(4)水勾配の取り方
階段の場合、踏面1枚1枚で水勾配を取っていくのが普通である。しかし、この方法だと外部の長い階段の場合、降雨時に下の方にいくほど上からの水が多くなり、水浸しになる。また段端に表面張力で水が溜まる。この対策として、私には以前から腹案(全ての石の周囲に溝を付けるという案)があるのだが、施工単価がかなり高くなるので未だ実現に至っていない。なお、この方法は踏面の奥の溝勾配に限度があるため、間口のあまりに大きな階段には不向きである。

参考文献:建築知識9月号 特集:まるごと石辞典