特殊な材料の拾い方

(1)役物の拾い方

役物とは、平物(ひらもの)以外の特別な加工を施した材料のことである。現在、建築石材のほとんどが薄板の仕上げ材だから、3㎜くらいの面収り加工、小面磨き、厚み決め、留めの合口切りなどは単価に含まれている。したがって役物として拾うのは、勾配の付いた笠石、水返し、水切り溝のある窓台石、または天井石、サニタリー付きの幅木石、枠石、額縁石、階段廻りの石などとなる。

床閑係では、溝の化粧蓋石、象眼石などが役物扱いとなる。また、床石で四半敷きの端部はすべて役物にしたいくらいである。

(2)曲面、テーパーの拾い方

これはすべて役物の部類に入る。曲面やテーパーといってもいろいろあるが、大休表2のように拾えばよい。

(3)ムク石の拾い方

薄い板物ではなく、厚い石で加工された部材をムク石という。ムク石の拾いは、原石数量を出す場合の「切」や「立方メートル」などの立体的な感じが掴める単位 が望ましい(表3

表2 曲面・テーパーの拾い方

部位・形状               拾  い  方
円形の丸柱完全円であれば見出し表面㎡を計算すればよい。フリー曲線の場合は、曲線に糸長さの幅を合計し、それに高さを掛けて㎡数を出すか、または柱全体の幅X高さで1本当たりの単価を入れてもらっても良い。ただし図面はなるべく大きい1/20くらいのものがほしい。すべて石厚みがどのくらいまで納まるかを明示する。
入口天井のアーチ額縁は平物で加工できる場合があるので、図を描いてメートル単価か1箇所単価にする。天井の曲線は内Rの場合が多いから、外Rに変化する部位は別に1力所単価にしたい。その他は㎡単位でよい。
テーパー大きい面積でテーパーが設計されているときは㎡単価が上昇する。主として合口関係が特殊加工で費用が増すためだ。部位的なテーパー設計のときは、その箇所だけ引き抜いて、延メートルにするか、㎡単価で拾う。見積り計算書に、図示できないときは、必ずテーパー付きの部位があることを明記する。

表3 ムク石の拾い方

部位など               拾  い  方
階段石板材でなく原石加工した厚物になる。拾い方は、たとえば断面の踏面350㎜蹴上150㎜に長さを掛ければ立方体として拾えるし、延メートルの積算単位でもよい
柱下束石関係これは形を図示して1個または1力所の単位がよい
縁石関係外部ボーダー関係などは延メートル表示
飾台石・人形台石飾台石などの原石からつくるムク石は1ヶ所、または1個単位。寸法を明示すること
規格ブロック大谷石などの規格ブロックのムク石材は、1本当りの単価にするか、仕上げの見付け㎡を計算して出す。

収まり別の拾い方

最初から完壁にできている図面は極めて少ない。また、1/50くらいの図面から拾い出すのは 、相当のベテランでないと難しい。たとえば、出幅木と入幅木の違いなのは図面には出ていない場合が多い。出幅木は上部の壁より前にせり出して施工される。したがって、天端を磨い て面を取る余計な仕事が増える。幅木石は延メートル、当たりで拾うから、1mの単価がこの 場合極端に増額される。下部の呑込みも高さ150㎜の幅木石で、10㎜呑み込むのと30㎜呑み込むのでは材料に1割り近くの差が出る。

これらの仕様が不明なときは、両者の中間よりやや高めの値段が入る。つまり、正確な拾い方が可能ならば安い見積書が作成できるということだ。

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